2012/12/29

親へのインタビュー


私たち二人は、アイタビとしてお話をお聞きする活動をしていますが、インタビューは、見知らぬ人にだけ行うものではありません。

親から話を聞くというのも、とてもおもしろく、有意義なものです。

私の感覚では、あらたまって問いかけることにより新鮮な回答が返ってくることが多いと思います。

案外、近くにいながら、親については知らないことが多いものです。
自分が生まれる前の親についてはなおさらです。

インタビューの中で、親という役割の顔ではなく、一人の人間としての表情を垣間見ることができるかもしれません。
「親と子」という関係だけでなく、「人間と人間」という関係になる瞬間があると思います。
「親と子」という関係からは感じることのない感情が生まれることもあるでしょう。

インタビューは、話す方もなんだかうれしい気持ちになりますし、聞いている方も心が暖まってきます。
話のきっかけは難しいですが、やってみると、いいものだなぁと感じていただけると思います。

時間としては、落ち着いて話すなら20~30分くらいがいいかなと思います。
また、食事中でも同席者が話を聞くことができる人であれば、話の中でインタビューしてみるのもいいと思います。


質問項目としては、例えばこんなものがあります。

・今までで一番ハッピーだった日はいつですか?

・思い出に残っている人はどんな人ですか?

・思い出に残っている食べ物はありますか?どんな思い出ですか?

・10代~20代の若い人(または30代)へのメッセージはありますか?

インタビューが終わったら、どんな話だったかを聞き手が話してあげると、お互いに確認にもなりますし、クールダウンにもなります。

二人だけの状態で聞いた話は、二人だけの秘密にしておくのがよいでしょう。

この年末年始、親御さんと話す機会がありましたら、何か一つでもご質問してみていただければと思います。
聞いたことのある話かもしれませんし、もしも聞いたことのない話が出てきたらもうけものです。
言葉のお年玉ですね。

2012/01/21

末長有遠さん

話者:末長有遠さん

30年間程の長い間、中学校の教師をされています。その間、学校付属の施設の担当もされ、多くの生徒を指導してこられました。約3時間という長時間でしたが、終始楽しくいろいろなお話をお聞かせいただきました。

インタビュアー:やまうちまさき、ゴトウハヤト

お話いただいた【一番のテーマ】は次のようなものだったと思います。
「自分が夢中になれる楽しいことをやろう。あなたはあなたの人生を生きなさい。他人から評価されることだけをやっていては、さみしい。」このテーマを、いろんな角度からお話しいただきました。

【今まででいちばんハッピーだった日】
子どもが生まれた時や教員採用試験に受かった時はうれしかった。ただ、小学校時代のお城や軍艦を木で作っていた時は三度の食事を忘れるほどに夢中になった。幸せな時間だったと言えると思う。木の部品を自分で作って、組み立て、最後は完成したお城を「炎上」といって燃やした。大人になってから、プラモデルを作ったことがあるが、誰かの設計図通りに作っているようで、そこまで楽しむことはできなかった。

【教えることについて】
昔は、学校で教えるということは、ブロイラーをつくることかと虚しさを感じたこともあった。しかし、今は、学校で教えるということは、「自信をつけさせる」ということだと考えている。小学校では小学校なりの自信をつけさせて、中学校に送り出す。中学校・高校も同じ。自信をつけさせるためには、生徒とのフランクな話し合いが必要だ。ただ、自信といっても、それぞれ得意分野がある。そして、得意分野が見当たらない子もいる。ある年の卒業の日に、そんなおとなしかった子が、小さな折鶴をくれたことがあった。今でも、その折鶴の意味を考えることがある。

【親と子について】
子どもが何をやっても「親に愛されている」と感じること。その感情が親子の人間関係の基礎やと思う。そして、親子の人間関係はすべての人間関係の基礎となる。かといって、親が関わりすぎるのもよくない。親が必要以上にかまうと、その子の原体験を奪うことになる。考え方が古いかもわからんけど、小学生の間はいっぱい遊んでいろんな原体験を積めばいい。「それだけじゃ生きていけまへんがな」って言われるけど、できたら、それが理想やな。
子どもには、貴重な経験、多様な経験、感動する経験、人を信頼することをしながら成長していってほしいなぁと思う。自分の子どもに対しても。

【人生の転機】
40歳の頃、二度、インドのバラナシあたりを旅した。インドは、異文化だった。交通機関の時間は大きくずれる。亡くなった方の葬り方は火葬したり、そのまま川へ流したりする。「no problem・we are friend・you are good businessman」、という三つの言葉。そして、市場などで見たインドの子どもの笑顔。
異文化に触れた後に日本を考えると、時間通りに動く日本は時間に縛られているように感じた。インドの子どもはすごいパワーをもっていた。それが、日本では失われているのではないかと感じた。日本の生き方が全てではないということに気づき、生き方を考えるようになった。

【評価中心の社会について】
今の社会は、評価が溢れている。学校でも仕事でも、人は評価されている。人を評価するということは、人を商品化しているということだ。「人材」という言葉はまさしく、それを表している。人からの評価だけを基準に生きていると、人から無価値と評価されたとき、つらい。
人の集まりには、「戦う集団」と「村」の二つの面がある。「戦う集団」においては、能力が高い人が求められる。
しかし、「村」という、一人一人の人間が生活する部分もある。人から無価値だと評価されても、人は生きていかなければならない。評価だけを基準に生きていることに無自覚な人が多いと思う。

【奇人変人について】
理屈を言う人がいるが、人間関係は理屈ではない。いいことをいう人の話を聞くより、はたから見たら普通とは思えないことを楽しんでやっている人の話を聞きたい。テレビを見ていて、大きな軍艦模型を作ったり、庭にお城を作ったりしている人の気持ちがわかる。20年前から京都で座禅をしているが、いろいろな人に出会った。山奥で自給自足の生活をしている人がおられるが、生活に満足されている。
他人からの評価をつきぬけた生き方は幸せではないか。世の中の意見にふりまわされずに、やりたいことをどれだけやれるかが幸せにつながるのだと思う。

【若い人へのメッセージ】
外に出て異文化を知りなさい。自分とは違う人間に出会いなさい。安全なところから外にでて、壁にぶつからないとわからない。行動し、命をはった経験が原体験として、自分のものになる。人がはだかになった時、残るのは原体験。小学校の頃は、いっぱい遊んで、体験して感動してほしい。小学校の頃から教室の中で勉強して東大に行ったとしても、国をひっぱることができるのだろうか。
自分自身も、何かやってみようと思って、四国遍路をやっている。開始前は思いもよらなかったが、四国遍路を始めて、「人を信じられる」場面に多く出会った。苦しんだり楽しんだりする中で、感じる事がある。


一問一答
Q.座右の銘は?
なし。誰かの言葉は関係なく、自分らしく生きることがいいと思っている。

Q.座右の書は?
ベルグソン、法然・親鸞の鎌倉時代の仏教に関る本。

(インタビューここまで)

やまうちまさきの感想
末長先生は、終始、生き方についてお話いただいたように感じます。「他人にケチをつけるのは、自分に納得できていないから。」というお言葉は、まさしく自分にあてはまることで思わず苦笑いしてしまいました。

そのほかにも、ときどき、ドキッとするようなことをおっしゃって、自分の未熟さを指摘されたようにも感じました。ただ、こういった指摘を受けられるのも、お話を聞きに行ったという行動の結果であるので、末長先生はそういった経験をせよとおっしゃっているのだと思います。

初対面にもかかわらず、包み隠さず、フランクにお話いただいたことに本当に感謝いたします。これから、やりたいことをやって社会から奇人変人と呼ばれたとしても、末長先生は喜んでくださいそうです。

やりたいことに向かってがんばろうと思えたインタビューでした。ありがとうございました。

ゴトウハヤトの感想
急なお話だったにもかかわらず、本当に気前よく長時間お話にお付き合いくださいました。ご自宅にお邪魔し、(勝手に)くつろいだ気分で楽しくお話をお聞きすることができました。

インドのお話、原体験のお話、教育が果たすべき役割のお話・・・いろいろなお話が出たのですがどれも面白く、そして、すべてのお話が「自分が納得できるように、生きたいように生きなはれ」というひとつのところにつながっているということも感じられ、とてもわかりやすかったです。

先生というご職業柄か、お話がわかりやすかったことも印象的でした。

僕はよく、「会社の要請や社会からの期待に応えることで、キャリアアップしていく」という、「上に上に」という考え方や合理性を追求する考え方をついしてしまいしがちなのですが、それは先生の言う「世間からの評価を得る」ということだな、とも思います。もちろん貢献することも大切だし、先生が言うように、人を評価をし、人から評価されることで経済活動が成り立つという面もあるのですが、それだけがすべてだと思うと、いつまでも満足できない、納得しない生き方にもなりそうです。「役に立っても立たなくても、アホなことでもいい、自分の好きなことをやる」という時間をもっと取れるようにしたいと思います。

また、今回の末長先生とのお話では「子ども」の教育のお話が出ましたが、いまは、子どもだけでなく、大人の中にも「自信を失っている人」「豊かな原体験を得られていない人」が多いのかなと思います。

自信がないから、人からの評価を得るためにがんばる→人からの評価ばかりを追い求めるうちに自分にとってうれしいことが何かわからなくなる→貴重な原体験から遠ざかる→満足が得られなくなる→さらに自信がなくなる、といったサイクルや、人からの評価ばかりを追い求めるうちに疲れる→仕事もそれ以外のこともほどほどで済ますようになる→さらに自信がなくなる、といったサイクルに陥る人もいるのではないかと思います(私自身にもその傾向があります・・・)。そういう大人たちに対しても、「自信をつけさせてあげること」「原体験の機会を得やすくしてあげること」も、ひとつ必要なことなのかもなぁと思いました。先生とお話をしているだけで意欲がみなぎってくるので、大人にも、こういうつながりがもっとあるといいなと思います。

僕も去年ぐらいから座禅や仏教の勉強をし始めていて、末長先生の考え方はそのあたりともつながっているように感じました。僕自身、座禅や仏教についてもっともっと知りたいと思いました。

(インタビュー日 2012.01.07)

2011/06/15

高井良勝さん

話者:
勝妙院 高井良勝住職
高野山・真言宗
金峯山・修験本宗
住職であり、山伏であり、さらに御嶽教の神主でもあられます。

インタビュアー:ゴトウ○○ト、やま○○まさき

Q.今までで一番ハッピーだった日はいつですか?
(選ぶとなると、難しいけれど、) 大学を卒業したときです。 もう勉強しなくていいと思ったから。うれしい、というよりもほっとしました。

こどもが生まれた時もうれしかった。ぜひ出産に立ち会ってください。感動すると思います。

うれしいことはいっぱいある。

勉強がいやで、住職にもなりたくなかったけれど、高野山で真言宗を学び、また、修験道がおもしろく、考え方が変わりました。 亡くなった人のためだけの葬式・法事ではなく、生きている人がいかに幸せに生きていくか、ということに関れるからです。


Q.大学を卒業して、すぐに住職になられたのですか?
祖父も父もおり、住職が多かったので、5年ほどいろいろな仕事をしていました。土方やバーテンダー、警備会社・・・の仕事をしました。住職の中では珍しいのではないですか。 いい勉強になりました。

先代の後を継いでからは、自分の方法でやろうとすると、信者さんから「先代は違った」と言われました。 自分のやり方ができるようになるまで、10年から15年ほどかかりました。


Q.現代の地域社会や家族についてどう考えておられますか?
家族については、大家族であるべきだと思います。 3世代同居等の大家族であれば、世の中がうまくいくと思う。 例えば、保育所が満員でも祖父母が世話をすることができる。 子育てに悩んでも、祖父・祖母の協力が得られる。 一つ屋根の下に住むので、家賃支払も少なくなる。

(インタビュアー達は住職と接する機会がないというのは、) 今は、子どもは大人になると、家を出てしまうので、お寺の方とも接する機会が少ないのでしょうね。 地域については、ここ相川はコミュニティや近所付き合いは盛んであると思います。


Q.今の10代から20代の若者へのアドバイスは?
(若者へのアドバイスというよりは、大人への意見として、) 地域社会については、近所の大人は子どもを叱るべき。 悪そうにつるんでいる子どもも、一人一人は普通の子です。 もっと大人が子どもに関るべきだと思います。 大人は、近所の子どもと顔見知りになればいい。そうすれば、もっと近所の子どもと関れます。 今の子どもは一人で行動する強さがないとも思うが、それよりも、今の大人が子どもを避けている、ということが重要です。

子ども会に関っているので、まちの子どもはほとんど知っています。 バーベキューをしたときは70人の子どもが集まりました。 (その時は、延々と焼きそばを焼き続けて大変でした。 それ以来バーベキューはしていない。)

また、お寺は地域のコミュニティーの中心であるべきとも思います。 昔は寺子屋など、お寺が地域の子どもを集めて関っていました。 近所にジャグリングの名人がいますが、子どもはボール3つのジャグリングなら10分~15分でできるようになるらしい。

時には、中高生でも水子の霊を拝んでくれという子もやってくる。 世間的にはいけないことをして、というが、「子どもをおろすというのは人を殺しているんやぞ」と叱るけれど、そうやって、拝んでくれとやって来る心があるのはええやないか、と思います。


Q.高井さんからは強さや器の大きさを感じます。
今回のインタビューを引き受けてくださったことからも器の大きさを感じます。
それらは、どうやって身につけたのですか?
よく「超アグレッシブ」と言われます。 ぼくのポリシーは「石橋は走って渡ろう」です。 もちろん走って渡ったら、橋が崩れることもあるかもしれないが、そのときのために、 川を泳いで渡れる強さは鍛えて身につけている。 とにかく、全力で行きましょう、と思っています。

子どもの頃は、身体が弱かった。二日に一度、熱を出して寝込むくらい。それが、部活でブラスバンドに入って、肺活量など身体が強くなった。 その後、ラクビー部に入り身体が強くなった。 こわいヤンキーの兄ちゃんにも、こちらから話しかけたら大丈夫だと知り、精神的にも強くなりました。

また、(強さや大きさは)職業上の必要性もあると思います。 信者さんにはこちらから「どう?」と話しかけていくことが大事だから。 成長していく中で、こちらから話しかけていくということを大事にするようになりました。

また、子どもの頃は、山伏の父親に連れていってもらったのは、ほとんど山だった、ということもあります。 父親の修行と仕事の一環として、山ばっかりで、子どもの頃の写真も山の中ばっかり。


一問一答
Q.座右の銘は?
石橋は橋って渡ろう。
アグレッシブに、振り向かない。

Q.座右の書は?
決められない。
(お勧め書は内緒で教えていただきました。)

Q.尊敬する人物、目標とする人物はおられますか?
弘法大師空海と、それから父親です。 今の人生を悪くないって思っていますが、その今の自分の基礎を作ってくれたのは父親ですから。

他に、矢沢永吉。以前はバンド活動もやっていました。

Q.一番の健康法は?
楽天家でいること。絶対に後ろは振り向かない。良くても悪くても。 苦しいという気持ちを残さない。苦しい思いをして山を登っても、その後、きれいな景色をみたら苦しいという思いが消える。また、苦しい修行をしているから、普段が楽に暮らせるということもある。

プライベートの時も、仕事の時も同じ。 自分の生き方に自信があるわけではないが、 生き方に確信を持とうとしています。

(インタビューここまで)
 
 
普段着の自分の写真の方が、自分らしいとのことです。
 
お話を聞いて。 (ゴトウ○○ト)
高井さんのお話はどれも面白く、あっという間にインタビューの時間が過ぎてしまいました。お話を聞いていろいろなことを考えましたが、なかでも特に強く感じたこ­とを3点だけ挙げてみたいと思います。

話を聞くのは面白い
今回が数回目の試みだが、やはり、人からインタラクティブに話を聞くことはとても面白い。今回のゲストの高井さんが特別に話し上手なこと、住職であることなども­大きかったと思うが、純粋に面白かった。ただし、これを消化するのには時間がかかりそうだと思う。高井さんには、時間をおいて、また、角度を変えてもう一度お話­をお聞きしてみたいと思った。

宗教は蓄積されてきた生活の知恵
宗教には「信じるもの」という側面とは別に「生活の知恵の集まり」という側面があるように思った。日本の宗教は特にその色合いが濃いのではないかと思う。
そう考えると、宗教を食わず嫌いで避けるのはつくづくもったいないと思う。避けるのではなく、逆にしがみつくのでもなく、良い距離感を保ちながらうまく仏教と付­き合っていければいいなと思う。
また、なんだか、日本人と宗教との関係は、日本人とお金、日本人とITとの関係と似ているように感じた。意識するしないにかかわらず身近にたくさんの寺院がある­から、良い宗教リテラシーを身につけて適切な関係を築いていくことが人生をより豊かにしてくれるのかなと思う。

おごらずブレず
高井さんから強く感じたことのひとつが「自信」と「しなやかさ」。「いま自分の言ってることが唯一の正解だとは思わないけど、自分はこう考えるんだ」という姿勢­が言葉や話しぶりから感じられた。
僕らに話すときにも「あくまでも一住職が言ってることやで」という断りが入りながら、それでも断言する強さがあったように思う。

最後に、お話をお聞きする中で印象的だった言葉もいくつかあげてみます。

印象的だった言葉
・「石橋は走って渡ろう」
・「家族は大家族であるべき」
・「精進料理といっても粗食は×」
・「煩悩はなくならない」
・「煩悩自体が悪いわけではない」
 
 
感想(やま○○まさき)
高井さんは、終始楽しくお話をしていただき、また、個人的な考えなどいろいろなことをお話してくださいました。 おかげさまで、今まで考えたことのない視点、考え方に触れることができ、多くのものを得ることができました。

例えば、
・大家族論。
・石橋は走って渡ろう。
・生きている人がいかに幸せに生きるか。
・大人から子どもに関わる。
などです。

お話の内容、そして高井さんの器の大きさや存在感など 多くのことに刺激をうけ、インタビューを終えて、うまく整理できない感覚が残りました。 人が食物を食べて消化して成長するように、高井さんとのインタビュー経験も“消化”するのに時間がかかりそうです。

人に会ってお話を聞く、その人個人としての部分に焦点を合わせるということを今まであまりしてきませんでしたが、今回こうやってアイタビとしてのインタビューをしたことで、 新しい経験をしたと感じています。 このうまく整理できない感覚が消化できたとき、 私の日常行動の考え方の選択肢が増えたり、行動が変わったりするのだと思います。 それが、「学ぶ」ということではないかと思います。

高井さんと向かい合っていると、頼もしさを感じました。 揺るがない強さ。受けとめる柔らかさと大きさ。 長年の修行を通して身につけられたものだと思います。これからも、人から学ぶということを通して、高井さんのような人間的な大きさに近づきたいと思います。

(インタビュー日 2011.05.22)

■高井さんについて
勝妙院
今回インタビューさせていただいた高井さんのお寺。
〒533-0007
大阪府大阪市東淀川区相川3-2-3
06-6340-3249

渓心書道教室@勝妙院
勝妙院では、週に2回、書道教室も開かれています。
06-6370-5108
中学生まで 2,800円
高校生以上 4,000円
毎週水曜日(水曜日PM4:00~6:30/木曜日PM2:30~6:30)

金峯山修験本宗 金峯山寺
勝妙院が所属する金峯山修験本宗の公式サイト。

真言宗 - Wikipedia
こちらも、高井さんが所属する真言宗について。


■関連知識
修験道
山に登って行う修行。日本古来の山岳信仰と仏教とが混ざり合って生まれた。
Wikipediaには
修験道の法流は、大きく分けて真言宗系の当山派と、天台宗系の本山派に分類される
現代では、奈良県吉野山の金峯山寺(金峰山修験本宗)、京都市左京区の聖護院(本山修験宗)、同伏見区の醍醐寺三宝院(真言宗醍醐派)などを拠点に信仰が行われ­ている
とあります。
修験道 - Wikipedia
修験道 - 金峯山寺


山伏
山の中を歩き、修行をする修験道の行者。「修験者」とも言う。

捨身行
断崖絶壁から身を投げ出す修行。肩から胴体に太い綱をかけられた状態で、頭のほうから絶壁へ差し出される。

2011/04/06

ゴトウ○○トさん


インタビュアー:やま○○まさき

話者:ゴトウ○○トさん
28歳。男性。独身。大学院にて工学系の研究を修め、社会人になってからは愛犬関連ビジネス企業において、マーケティングや企画、ウェブに関するノウハウを蓄積。傾聴等のコミュニケーションスキルにも優れ、また、周囲に対して情報を発信・シェアしていくことにも熱心であり、人との関わりを大切にしている。
2010年末に組織変更により退職し、現在、キャリアを見つめなおしつつ、その素養を大きく育んでいる。


Q.今までで一番ハッピーだった日はいつですか?
高校3年生(18歳)の3月の、大学の合格通知が届いた日。

自分の大学合格を、母親が思いのほか喜んでくれたことがうれしかった。子どもが成長する事が、親のよろこびであることを知った。介護や仕送りのように、親に対して孝行することだけが親のよろこぶことではなかった。

将来、自分も誰かを応援し、よろこびの瞬間に立ち会いたいと考えている。


Q.誇りに思うことはなんですか?
母方の祖父とその血筋を受け継いでいることを誇りに思う。

祖父は、鹿児島で小学校の先生をしながら、柔道・剣道の指導をしていた。親戚が集まったとき、祖父の話が出ると、みんなが祖父のことを「怒らない人。人からの頼みにもありがとうといって応える。あんなにできた人はいない。」と言う。祖父が職場が転勤となるとき、鉄道の駅まで多くの人が見送りに来たという。

そんな祖父の血筋を継いでいきたいし、そうなるために努力をし、人に慕われ、役立つことを一生懸命していきたい。
 
 
Q.知識・情報などをシェアする事に熱心な理由はなんですか?
一つは、祖父のように人の役に立ちたい、という理由。

もう一つは、自分がシェアすることを通して成長することで、すごいと思う人に出会えると考えているから。すごいと思える人と出会い、話をすることは、自分にとってごほうびである。すごい人と共鳴していきたい。今の自分を楽器にたとえると打楽器だと思う。他の打楽器と打ち消しあうこともある。理想は管楽器になり、メロディーを奏でたり、他の楽器とハーモニーを奏でたい。


Q.傾聴を心がけるようになった理由はなんですか?
一つは、マネジメントについて学ぶ中で、相手の能力を引き出すことの重要性を学んだから。

もう一つは、チームが成功したとき、自分が表舞台の中心でなく、裏方として触媒的な役割を演じていたとしても、満足を感じるようになったから。
 
 
Q.生命を大事にしている(ように思うが、その)理由はなんですか?
(インタビュアーより、以前、話者が道路で車に轢かれた小動物を見つけたときに、道路わきまで移動させたことを話す。)

感情移入しやすいのだと思う。自分がその立場だったらと考え、自ずと行動している。
幼少時代、公園の時計に感情移入していた記憶がある。


Q.座右の銘は?
「おもしろきこともなき世をおもしろく」(高杉晋作)

武士という立場が与えられていたにもかかわらず、それを守ろうとせず行動したため。
 
 
Q.座右の書は?
「東大講義」(立花隆)

学問のおもしろさ、意味を知った。
 
 
Q.尊敬する人物、目標とする人物は?
「祖父」(前述)

「糸井重里」
普遍的なものを知っている。

「鷲田清一」


Q.一番の健康法は?
寝ること
 
 
Q.いまの10~20代を見ていて気づくことは?また、アドバイスは?
人生が限られているということを意識していないのではないか。だるい、しんどい、という言葉をよく口にしていて、すべきことをしていないのではないか。


インタビューを終えて(インタビュアーの感想)
インタビュー前に、話者のすごいところとして、「行動する勇気・意志の強さ」、「行動量」、「情報のインプット・アウトプットの量」に注目しており、インタビューを通して、それらの要因を知りたいと思っていた。インタビューをしてみて、話者の行動力の源泉の一つとして、「誇りであるおじいさんのようになろう」というモチベーションがあるように感じた。

普段接する中では表に出てくることのない、母親やおじいさんに対する想いが伝わってきて、感動をおぼえた。これは、自分の中の家族に対する想いが揺り動かされたのかもしれない。話者はインタビューの中で、“共鳴”という表現をしたが、それを借りれば、私の中の家族への想いが“共鳴”したのだろうか。メールやFAXといったコミュニケーションでは、“共鳴”は生じにくいと思われる。この“共鳴”こそ、人と会うことの醍醐味かもしれない。

普段から親しい友人であったとしても、こうして向き合ってお互いの個人の話をすることは少ない。今回、向き合って個人の話をしたことで、心地よい疲れを感じた。

相手の大切な個人の話を聴くことは、「知る」のではなく「触れる」とでも表現すべきではないかと思った。脳だけでなく、身体全体で話を受けとめたように感じたからだ。この経験は、自転車の乗り方のように身体の記憶(『手続き記憶』)となり、自分自身に変化を与えるように思う。これから多くの人に会って、個人のストーリーに「触れ」させてもらうことで、自分がどう変わっていくのか、より楽しみとなった。

しかし、インタビューをしてみて、相手の話を引き出すインタビューのスキルの無さを感じた。相手が、個人のストーリーを話しやすいように、インタビューを進める技術を身につけていきたい。

最後になりましたが、大切な話をしてくれた話者にあらためて感謝します。

インタビュー実施日:2011年03月19日(土)。

2011/04/05

やま○○まさきさん


インタビュアー:ゴトウ○○ト

話者:やま○○まさきさん。
28歳。IT企業の総務部マネージャ。既婚の方です。


最初は、その人にとっての「幸せ」について端的に教えていただくところからお聞きしていきます。

Q.今までで一番ハッピーだった日はいつですか?
子どもの頃、家族揃って希望ヶ丘にピクニックに行った日。

やったことは、広場(芝生の上)で倒立したりフリスビーで遊んだりじゃれあったり。何か特別なことをしたわけではない。

人間だけでなく、犬もいっしょに行った。自分にとっては犬も含めて家族だったから、犬も含めた家族みんなで楽しめたのがよかった。

自分にとっては、家族とかみんなで楽しい時間を共有すること、それがハッピーなことなのかなと思う。ハッピーな状態にはいろんなものがあるけれど、みんなでハッピーなのが一番だと思う。ひとりより、みんな。

そういう意味では、これから先求めるのも家族や近しい人たちといっしょにハッピーになれることだと思う。むりやり押しつけることはしないけど、他の人にもそんなハッピーが実現できる空間や環境を提供していきたい。


Q. 両親のどんなところに感謝していますか?
小学5年生のとき、犬を飼うことをOKしてくれたこと。友達の家で生まれた子犬。

最初、親は反対した。子どもは「散歩に行く」と言うが、結局は散歩に行かなくなる。実際、大学で下宿することになって、その間は親と弟に任せっきりになった。親はいずれそうなることを知っていて、それでもOKしてくれたんだと思う。そのことがうれしかった。

最終的には、犬も家族の一員になった。自分と弟にいる、一番下の弟みたいな感じだった。

また、犬のこと以外でも、親は僕たち(僕と弟)のためにできうるかぎりのことをやってくれていたと思う。当時は手に入る情報が今とは違うし、今思えばできてなかったこともある。完璧ではなかったかもしれないけど、やれるだけはやってくれたと思う。

それを一番思い知ったのは、喧嘩したときの親の表情。10代の頃は親とよく喧嘩をした。たとえば「こんな家に生まれてきたくなかった」と酷いことを言ったときに、親が見せた表情からそれが感じられた。


Q. 両親のどんなところを尊敬していますか?
父親は「ひとつの会社に勤め続けたところ」。母親は「明るいところ」「喧嘩したりしても、後に引きずらないところ」。

両親には、「滋賀県のちょっと田舎の地域で生活し続けたところ」。都会の誘惑もあったと思うが、目移りせずに田舎でがんばり続けたのはすごいと思う。


Q. 良いバランスを保つためのコツは?
自分のカラダに任せること。ムリはしないこと。

意思をゆるめれば自然に遊べる。意思をゆるめているうちに体力が回復してきて、遊んでばっかりじゃダメだと罪悪感を感じる。そのときに勉強や仕事ができる。


Q. 何がきっかけでその「調和・バランス感」を手に入れましたか?
(事前に、インタビュワーは話者のすごいところ(性格)として「調和・バランス感が取れている」ということを挙げていました。)
確かに何か問題があったとき、原因を自分の内に求めるタイプだと思う。「帳尻を合わせる力」はある方だと思う。

自分のココロを感じ取る、俯瞰して見るということは比較的できてるんじゃないかと思う。違和感に気づく。意識して身に付けたわけでなく気付いたら自然にやっていた感じだけど、悲しいことがあったりしたとき自分を見つめることで、その中で徐々に身に付けたんだと思う。

これには、陸上部で長距離をやっていたことも関係していると思う。「100分走る練習」なんかがあって、自分のベストを出そうとする中で自分を見つめることを学んでいった気がする。

(そういった調和・バランス感を身に付けたいという人にアドバイスをするとすれば?)
自分の場合は、自分のカラダに任せるようにしている。ムリをしないこと。


Q. 今後、どう成長していきたいと思いますか?
まず、この1年は、知識を蓄積。資格の勉強をしたり。来年からは経験を積んでいきたい。

7~8年先、36歳くらいのときに、知識と経験を兼ね備えて、「人間の活性化」ができるようになりたい。日々のレベルを上げる、ということを手伝いたい。日々のレベルを上げるとは、「明日も今日のような日になるといいな」とより多くの人が思えるようにすること。

自分の人生を春夏秋冬に分けて考えている。春、夏、秋、冬、ひとつの季節を18年として全部で72歳。今は夏。実りの秋に備えて大きく成長していきたい。


Q. この世でこれだけはやっておきたいこと。何?
前述したように、人生を春夏秋冬に分けて考えている。その考えのもとで、その季節にその季節らしく生ききたい。夏は夏らしく、秋は秋らしく、今できることをしたい。


Q. 座右の銘は?
「あなたに会えてよかった」。

こう言いたいしこう言われたい。


Q. 座右の書は?
「強く生きる言葉」(岡本太郎)。


Q. 尊敬する人物、目標とする人物は?
「岡本太郎」
「中島みゆき」


Q. 一番の健康法は?
ジョギング


Q. いまの10~20代を見ていて気づくことは?また、アドバイスは?
(自分自身も含めて)生きている世界が狭い。接する人の年齢層や地域とのつながり。

もっと、身近にある豊かな世界を知ってほしいなと思う。


インタビューを終えて(インタビュアーの感想)
身近な人の語らない一面
身近な友達が、これだけ多くのストーリーと世界観を持っているということに驚きました。普段の会話の中でそこまで立ち入ることはないけど、人には語らない一面がたくさんあるんだなと思いました。

ほんのわずかな時間「聞く」ことでできること
30分くらいのほんのわずかな時間でも耳を傾ければ深い話が聞けるんだという発見がありました。人の話をたった30分聞くだけで膨大なものが得られるんですね。。

身近な人に与えられるものの大きさ
人が、その家族や身近な人々から受け取っているものの大きさというのを感じました。何気ないちょっとしたことを人はよく覚えていて、それを糧にしたり、大切にしたりします。周りの人に良い影響を与える力があるということをもっと認識して生きていきたいと思いました。

インタビュー実施日:2011年03月19日(土)。